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【中学生・高校生】子供が不登校になったらどうする? 不登校になりやすい家庭や仕事についても解説します

子供が学校に行けなくなると、保護者として「どうすればいいのか」と強い不安を感じるものです。不登校は決して珍しいことではありません。文部科学省の調査では2022年度の不登校児童生徒数が約30万人に達し過去最多を更新しています。つまり、誰にでも起こりうる身近な問題であり、適切な対応によって状況は改善できます。本記事では、中学生・高校生の子供が不登校になったときの対応、不登校になりやすい家庭の特徴、親の仕事との両立について、長期的な視点も含めて詳しく解説します。

1.中学生 高校生 子供が不登校になったら最初にやるべきこと

中学生や高校生の子供が不登校になったら、まず大切なのは焦らないことです。無理に学校へ行かせようとすると、かえって状況が悪化することがあります。不登校の原因は心や環境の問題が複雑に絡み合っている場合が多く、すぐに特定できないこともあります。不登校のきっかけが必ずしも本当の原因とは限らず、子供自身にも「なぜ行けなくなったのか」分からなくなるケースもあるのです。したがって、原因を一つ一つ見極めながら段階的に対応する必要があります。「学校に行きたくない」という子供の訴えを、まずは受け入れる姿勢が重要です。ある識者は「風邪をひいたくらいに考えて数日休ませるのがいい」とアドバイスしています。以下では、具体的に家庭で最初に取り組むべきポイントを解説します。

1-1.子供の気持ちを最優先にする

子供が不登校になったら、最初にすべきことは子供の話に耳を傾けることです。責めたり、「なぜ行かないの?」と詰問したりするのは逆効果になります。原因を探ろうとする行為自体、子供に「今のままではダメだ」というメッセージを与えてしまいかねません。まずは子供の気持ちを受け止め、安心できる環境を作ることが重要です。

実際、不登校経験者の声からも「原因よりも、今つらいという気持ちに共感してほしかった」という切実な訴えが聞かれます。20年以上不登校支援に携わる専門家も「親が第一に考えるべきは、子供の気持ちに耳を傾け寄り添うこと」と指摘しています。例えば「楽しい、苦しい、悲しい、気持ち悪い…いろいろな気持ちがあるけれど、今どんな気持ちかな?」と問いかけてみると、親が自分の気持ちを受けとめようとしていることが子供に伝わり、心が安堵するといいます。

「学校に行きたくない」という子供の訴えをそのまま受け止めるのは、親にとって簡単ではありません。しかし、子供にとって一番安心できる存在である親だからこそ、本音を伝えているとも言えます。このとき必要なのは、原因探しでも善悪の判断でもなく、言葉にならないかもしれない子供の今の気持ちをただ受け止めることです。それが子供の未来にとって大事なスタート地点になるとされています。まずは子供の気持ちを最優先に考え、「あなたの気持ちを理解したい」という姿勢を示しましょう。

1-2.生活リズムを整える

学校に行かなくなると、昼夜逆転や生活の乱れが起こりやすくなります。起床時間や就寝時間、食事の時間を一定に保つことで、子供の心身の安定につながります。実際、不登校になると大半の生徒は生活リズムが乱れてしまうと言われています。夜更かしで朝起きられなくなり、それが続くと学校へ戻りたい気持ち自体が薄れてしまうこともあります。たとえ一時的に登校できても、生活習慣が不規則だと長続きしない恐れがあります。

さらに、中学・高校の進路選択にも生活リズムは大きく影響します。生活リズムが乱れていると、将来に向けて行動を起こす気力が湧いてこなくなるのです。例えば中学生の場合、不規則な生活のままだと高校受験の準備に取りかかる意欲が出ず、進学のタイミングを逃してしまうことがあります。ギリギリになって慌てて進学先を決め、不本意な環境でまた不登校になるケースもあると指摘されています。高校生の場合も、生活が乱れたままだと将来の選択肢を調べたり進路を考えたりする力が湧かず、結果的に進路決定が遅れたり狭まったりする可能性があります。

そのため、規則正しい生活リズムを取り戻すことが重要です。具体的には、毎日の起床・就寝時刻と食事の時間を決めます。さらに、家庭内で子供の役割を作るのも有効です。例えば掃除や食器洗い、買い物などの家のお手伝いを任せることで、生活にメリハリをつけます。これらのルール作りは子供本人も交えて決めると良いでしょう。自分で決めたという意識があるほうが守りやすくなります。

また、長時間のネットやゲームは生活リズムを乱す大きな要因です。ある調査によると、不登校中学生の保護者の約56%が「子供が一日中インターネットやゲームをしていた」と感じていることが報告されています。ゲームやスマホは子供にとって興味の対象であり、完全にやめさせるのは難しいですが、使ってよい時間帯や時間量を決めてメリハリのある利用を心がけましょう。この際、子供だけにルールを押し付けるのではなく、家族みんなで協力して取り組むことが大切です。例えば「夜◯時以降は家族全員スマホを見ない」など、親も一緒にルールを守る姿勢を見せると子供も納得しやすくなります。

生活リズムを整える工夫として、週に1日でも決まった予定を作るのも効果的です。例えば「火曜日は塾の日」「木曜日は家庭教師の日」など、定期的に家の外へ出かけたり誰かと約束したりするスケジュールがあると、生活にリズムが生まれます。外出が難しければオンラインでの習い事でも構いません。大切なのは、決まった時間に何かをする習慣を作ることです。

生活リズムの立て直しは、一朝一夕にはいかないかもしれません。最初は守れる日もあれば守れない日もあるでしょう。それでも粘り強く声がけを続け、子供がルールを守れたときには大いに称賛してください。例えば決められた時間に起きられた、ゲームの時間を守れた、といった小さな達成でも家族みんなで喜び、「できたね」「頑張ったね」と認めることが大切です。そうした小さな成功体験の積み重ねが子供の自信につながります。

なお、「普通の生活リズムを保つ」ことは不登校対応の中でも最重要とも言われます。生活リズムが整えば心身の調子が安定し、気分にも余裕が生まれて前向きな気力が湧いてくるからです。新しい環境や習慣に対処する意欲も出てきます。逆に言えば、生活リズムが乱れたままだと他のどんなサポートもうまくいきにくくなってしまいます。まずは子供の生活リズムを整えることから始めましょう。

1-3.学校や外部機関と連携する

不登校の問題は家庭だけで抱え込まないことが重要です。学校の先生やスクールカウンセラー、教育相談センターなどと連携し、周囲のサポートを得ましょう。中学生・高校生それぞれに適した公的な支援制度や相談窓口が用意されているので、状況に応じて積極的に利用することができます。

まず、子供が不登校になった場合は在籍校に相談することが基本です。具体的には担任の先生やスクールカウンセラー、養護教諭(学校の保健室の先生)に現状を伝え、学校で可能な対応やサポートを確認します。学校側も生徒の不登校には非常に関心を持っており、何らかの支援策を提案してくれるはずです。例えば、別室での学習や週何日かだけの登校など、柔軟な対応が取れないか協議できます。

もちろん学校外にも頼れる機関はあります。その他の相談先の例として、以下のような公的機関があります。
・教育センター・教育相談所(教育委員会が設置する相談窓口)
・教育支援センター(適応指導教室と呼ばれ、不登校児が在籍校籍を持ったまま通える学習支援施設)
・児童相談所(家庭環境も含めて子供の福祉を支援する機関)
・保健所・精神保健福祉センター(子供の心理面の相談に乗ったり、医療機関と連携したりする)

こうした相談窓口の名称や役割は地域によって多少異なりますが、お住まいの都道府県・市区町村の教育委員会や保健福祉部門に問い合わせれば利用できる支援を教えてもらえます。近年では全国の小中学校・高校の約7割にスクールカウンセラーが配置されており、子供だけでなく保護者の相談にも応じてくれます。スクールカウンセラーや教育支援センターの利用は無料です。費用面の心配なく専門家のカウンセリングを受けられるので、遠慮せず活用しましょう。

大切なのは、不登校を親子だけで抱え込まず早めに周囲に相談することです。学校や専門機関と連携しながら進めれば、子供が安心して過ごせる環境づくりも進めやすくなります。担任の先生との定期的な情報共有や、必要に応じた外部機関へのつなぎ(リファー)など、周囲の力を借りることで、解決への道筋が見えてきます。「助けてください」と声を上げることは決して悪いことではありません。不登校対応はチームで行うものだと考えて、周りに頼れるところはどんどん頼ってください。

2.中学生 高校生 不登校になりやすい家庭の特徴とは

不登校になりやすい家庭にはいくつかの共通点があるとされています。ただし、これらに当てはまるから必ず不登校になるわけではない点に注意が必要です。あくまで傾向として理解し、家庭環境を見直すきっかけにすることが大切です。不登校は特別な家庭だけに起こるものではなく、どの家庭にも起こり得ます。最近では「もしかしてうちの子も…」と不安を抱く保護者が増えており、「自分の家には関係ない」と決めつけずに普段の家庭環境を冷静に見直すことが重要だと言われています。以下では、不登校になりやすい家庭によく見られる3つの特徴を解説します。

2-1.過度な期待やプレッシャーがある家庭

成績や進学、習い事の成果などに対して親が強い期待をかけすぎる家庭では、子供がプレッシャーを感じてしまうことがあります。特に中学生や高校生は自己肯定感が不安定な時期です。親の期待に応えられないと感じると、子供は「自分はダメだ」と自信を失い、失敗への恐怖から学校に行きたくなくなるケースがあります。

例えば親が「もっと頑張ればできるでしょ」「他の子はちゃんとやっているのに」などと他人と比較して叱咤激励するような場合、それは子供にとって大きなプレッシャーとなります。こうした言葉は子供の個性や努力を否定し、劣等感や反発心を生みやすくなります。「これくらいできて当たり前」という態度で接すると、子供はどれだけ頑張っても報われないと感じてしまい、やる気を失ってしまいます。実際、「親からの過度な期待やプレッシャーは子供が自分に自信を持てなくなる大きな原因です」との指摘もあります。親の期待が高すぎると、子供は常に自分を「合格点に達していない存在」だと思い込んでしまうのです。

真面目で頑張り屋な子ほど、親の期待に沿えない自分を責めて追い詰められてしまうことがあります。その結果、「どうせ自分なんか何をしてもダメだ」「失敗するくらいなら最初から挑戦したくない」という心理に陥り、不登校につながることもあるのです。実際、不登校になる子供には完璧主義の傾向が見られるケースがあります。失敗を極端に恐れ、他人の評価を過度に気にしてしまう性格が、不登校の背景にあることも指摘されています。

対策としては、子供に高すぎる目標を押し付けないよう注意することです。励ますつもりがプレッシャーになっていないか、一度立ち止まって考えてみましょう。比較よりも個々の歩みや強みを認めることが大切です。例えばテストで前回より点数が上がったらたとえ平均に届かなくても褒める、部活や趣味で頑張っていることがあれば評価する、といった具合です。親が子供の長所や努力をしっかり認めてあげれば、過度なプレッシャーを和らげることができます。それが結果的に子供の自己肯定感を育み、不登校の予防にもつながるのです。

2-2.コミュニケーションが不足している家庭

日常的な親子の会話が少ない家庭では、子供が悩みを打ち明けにくくなります。ちょっとした雑談や挨拶すら交わさないような状態だと、子供は「どうせ話しても無駄」「聞いてもらえない」と感じてしまいがちです。その結果、心に不安やストレスを抱えても誰にも相談できず、問題が深刻化して不登校という形で表れてしまうことがあります。 家庭内の会話不足は子供に孤立感をもたらします。例えば、夕飯時に「今日学校で何があったの?」という何気ない会話が全くない状態を想像してみてください。子供は「自分はあまり関心を持たれていないのかもしれない」と感じ、自分から話しかける意欲も薄れてしまいます。特に思春期の子供は繊細で、「親に心配や迷惑をかけたくない」と悩みを隠す傾向もあります。そのため家庭で話しやすい雰囲気がないと、余計に心を閉ざしてしまうのです。

普段から小さな会話を積み重ねることが不登校の予防につながると専門家は言います。「おはよう」「いってらっしゃい」「今日は暑かったね」といった簡単なやり取りでも構いません。毎日の小さなコミュニケーションの積み重ねが、子供にとっては「自分は大事にされている」という安心感につながり、不登校を防ぐ大きな力になります。逆に言えば、日常の挨拶や雑談が減ってきたら、それは子供からのサインかもしれません。

対策として、意識的に親子の会話時間を作るようにしましょう。忙しくても一日5分でも良いので、テレビの感想でも今日あった出来事でも、なんでもない話をする時間を設けてみてください。会話の内容よりも「和やかな雰囲気」と「ちゃんと話を聞いてもらえる安心感」が大切です。例えば一緒にテレビを見ながら「この番組面白いね」と話したり、夕食の準備を手伝いながら「今日は○○があったよ」と親から話題を提供してみたりするのも効果的です。子供が話しかけてきたときは、できるだけ手を止めて耳を傾けるようにしましょう。親がきちんと向き合ってくれると分かれば、子供は「話しても大丈夫なんだ」と感じて心を開きやすくなります。

普段からコミュニケーションをとっておけば、子供に何か悩みが生じたときにも早めに気づけますし、子供も相談しやすくなります。「最近元気がないけど何かあった?」と声をかける土壌ができているだけでも、不登校の芽を早期に摘むことができるでしょう。家庭内のコミュニケーションは多すぎて困ることはありません。子供にとって家が「安心して何でも話せる居場所」になるよう、日頃から対話を大切にしてください。

2-3.家庭内のストレスが強い場合

親の仕事の忙しさや夫婦間の不和、経済的困難、家族の病気など、家庭環境に大きなストレス要因がある場合も、不登校につながりやすいとされています。子供は家庭の雰囲気に非常に敏感です。家で安心してリラックスできない状態だと、心が不安定になり学校にも行きづらくなってしまいます。

例えば、親同士が頻繁にケンカしている家庭では、子供は常に心配や緊張を抱えることになります。「またお父さんとお母さんが言い争いをしている…自分のせいだろうか?」などと感じ、家に居ても休まらないでしょう。あるいは離婚や引っ越しなど生活環境の大きな変化も子供にとって大きなストレスです。親の口論や家庭の変化は子供にとって非常に不安な出来事であり、そうした家庭の不安定さを子供は敏感に感じ取ると指摘されています。

また、親が仕事で忙しすぎてほとんど家にいない場合も要注意です。親が不在がちだったり常に疲れてピリピリしていたりすると、子供は「相談したら迷惑かな」「自分の居場所がない」と感じてしまいます。家庭内で精神的な支えを得られないと、子供は孤独を深め、学校でも居場所を見つけられず不登校に陥る可能性があります。

経済的な不安も見逃せません。家計の苦しさから家庭内が常に張り詰めていたり、進学費用の心配ばかりされると、子供はプレッシャーを感じます。実際、不登校児を抱える親へのアンケートでは、「子供が不登校になって家計の支出が増えた」と感じる家庭が約9割に上り、3割の家庭で親が休職・転職・勤務時間の短縮など働き方の変化を余儀なくされ収入減少につながったとの調査もあります。このように経済面・精神面で親が追い詰められると、家庭の雰囲気が悪くなり、それを子供が責任に感じてしまう悪循環に陥りがちです。

対策として、まずは家庭内に安心できる居場所を作ることが大切です。子供にとって「家にいればほっとできる」「嫌なことがあっても家に帰れば大丈夫」と思える環境を整えるのです。そのために、家庭では否定や命令の言葉をできるだけ減らし、子供の話をじっくり聞く姿勢を心がけましょう。「何があってもここにいていいんだよ」「家なら安全だよ」と伝わるような雰囲気作りがポイントです。例えば子供の部屋やリビングを居心地よく整えたり、家族で過ごす時間を意識的に増やしたりするのも効果的です。家族団らんの時間に笑顔が増えれば、子供は「家は自分の安全基地だ」と感じられるようになります。

もちろん、親自身もストレスを溜めすぎないことが重要です。家庭内のストレスが高いと感じる場合、必要であれば専門家に相談したり、一時的に環境を変えたりすることも検討しましょう。場合によっては親子で心理カウンセリングを受けるのも有効です。親がリラックスできる時間を持ち、精神的な余裕を取り戻せば、家庭全体の雰囲気も穏やかになります。家庭は子供にとって最後の砦です。子供が安心できる家庭環境づくりこそ、不登校の克服に向けた土台になります。

3.子供が不登校になったら親の仕事はどうするべきか

子供が不登校になったとき、親の仕事との両立に悩むケースも多いです。特に共働き家庭では、「子供に付き添うために仕事をセーブすべきか」「収入と子供のケア、どちらを優先すべきか」といったジレンマに直面しがちです。ここでは、仕事と子供の不登校対応のバランスの取り方や利用できる支援制度、そして親自身の負担を減らすためのポイントを解説します。

3-1.仕事と子供のケアのバランスを取る

不登校の初期段階では、子供の様子をよく観察し寄り添う時間を確保することが重要です。そのため、可能であれば在宅勤務や時短勤務など柔軟な働き方を検討すると良いでしょう。学校を長期欠席し始めたばかりの時期は、子供の心理状態が不安定なことが多く、親のサポートを必要としている場合があります。会社に事情を説明してテレワークに切り替えさせてもらったり、勤務時間を減らしたり、有給休暇を使ってしばらく在宅で様子を見るという選択肢も考えられます。

ただし、焦ってすぐに仕事を辞めてしまう前に一度踏みとどまって考えることも大切です。子供が不登校になると、「ずっとそばにいて見守った方がいいのでは」と仕事を休職・退職しようと考える親御さんもいます。しかし、ある不登校支援の専門家は「仕事を辞めると決める前に冷静になってほしい」と助言しています。その理由として、以下のような点が挙げられています。

・子供に罪悪感を抱かせてしまう可能性がある: 不登校をきっかけに親が仕事を辞めると、子供は敏感にそれを感じ取ります。「自分のせいで親が仕事を辞めた」と強い罪悪感を抱くケースがあるのです。不登校の子供はただでさえ「学校に行けなくてごめんなさい」と親に申し訳なさを感じがちだといいます。そこへ「親まで巻き込んでしまった」と思わせてしまうと、子供の自己嫌悪やストレスがさらに増してしまいます。

・子供には“一人の時間”も大切: 親としては「ずっと子供に寄り添っていたい」と考えがちですが、不登校の時期だからこそ子供にとって一人で過ごす時間も重要だと指摘されています。誰かが常にそばにいると、子供はかえって心が休まらないことがあります。「遅刻してでも行かないと何か言われるかも」「家族がイライラしているかも」と気を遣い、心が落ち着かない子も多いのです。親が仕事を辞めて四六時中そばにいる状況になると、子供はかえって居心地が悪くなったりプレッシャーを感じたりする場合があります。適度に放っておいてもらえる一人時間は、子供が心を休め自分を見つめ直すために必要なのです。

・経済的な安定を失うリスク: 仕事は家庭の経済的安定に直結しています。退職すれば当然収入は減少または途絶えます。経済的不安があると、親自身が精神的に追い込まれて不安定になってしまう可能性があります。子供は親が思う以上に家族の不安を敏感に感じ取ります。親が経済的・精神的に不安定になると、その不安が子供にも伝播しかねません。また、後述するように不登校対応にはフリースクールや通信制高校への進学など費用が必要になる場面もあります。仕事を辞めてしまうことで、そうした教育オプションのための資金を失う恐れもあります。実際、不登校の子を持つ家庭では、フリースクールの利用料や塾代、カウンセリング費用などで支出が増えるケースが多いというデータもあります。

・親の心の拠り所を失ってしまう可能性: 仕事は収入のためだけではなく、親自身の社会とのつながりや自己実現の場でもあります。キャリアややりがい、生きがいを感じて働いている親御さんもいるでしょう。仕事を辞めてしまうと日々の生活リズムが崩れ、社会との接点が減り、親自身がストレスを感じたり塞ぎ込んだりしてしまう恐れもあります。親が落ち込めばそれも子供に伝わり、家庭の雰囲気が悪くなってしまいます。

以上のように、親が仕事を辞めることにはデメリットも多いのです。もちろん子供の状態によっては一時的に仕事より子供を優先せざるを得ない場合もあるでしょう。しかしその際も、「退職」しかないと考えるのではなく、可能な限り柔軟な働き方で乗り切れないか検討することをおすすめします。例えば有給休暇をまとめて取得して一定期間休む、育児休業制度や介護休業制度が使えないか人事に相談する、在宅勤務に切り替えてもらう、一時的にパート勤務に変更する等、会社と交渉できる余地はあるかもしれません。

子供の不登校という緊急事態に際して、会社側も配慮してくれることがあります。信頼できる上司や人事担当者に率直に相談してみるのも一つの方法です。「今子供が不登校で、朝起こすために出勤時間を遅らせたい」「しばらく週○日は在宅勤務にしたい」など具体的にお願いしてみれば、意外と理解が得られるケースもあります。

要は、仕事と家庭のバランスをいかに取るかです。収入も大事ですが、子供の心のケアも同じくらい大事です。両方を100%にするのは難しいかもしれませんが、0か100ではなく両立できる中間点を探ってみましょう。例えば「朝は子供が落ち着くまで出勤を遅らせ、夜は早めに帰る」「在宅勤務の日を週○日に設定して子供と昼食を一緒にとる」など、小さな工夫でも子供の安心感は違います。親が仕事も子供も諦めずに両立しようと試行錯誤する姿勢自体が、子供にとって励みになることもあります。

3-2.利用できる支援制度を活用する

自治体によっては、不登校の子供を持つ家庭向けの支援制度があります。それらを上手に活用することで、親の負担を軽減することができます。

まず、市区町村の教育委員会には教育相談窓口が設置されています。電話や面談で相談に乗ってくれ、地域のフリースクール情報や利用できる支援制度について教えてもらえることもあります。不登校支援に熱心な自治体では、適応指導教室(教育支援センター)だけでなく、民間のフリースクールとの連携や費用補助を行っているところもあります。

例えば滋賀県草津市では、市が認定したフリースクールを利用する不登校児の保護者に対し、月額上限4万円の利用料の半額(条件により最大全額)を補助する制度があります。このように自治体独自にフリースクール等の費用を助成しているケースも増えてきています。お住まいの地域でも同様の制度がないか、役所の窓口やホームページを調べてみるとよいでしょう。

フリースクール以外にも、自治体やNPOが主催する親の会(親同士の交流支援)やカウンセリングサービスなども積極的に利用しましょう。ある調査では、不登校児の親が「助けになった」と感じた相談先として、学校や行政よりも不登校児の親同士が交流する場(親の会)やフリースクールを挙げる回答が多かったという結果があります。親の会では、同じ悩みを持つ保護者同士で情報交換や気持ちの共有ができます。先輩保護者の体験談を聞けたり、共感し合えたりすることで、「自分だけじゃない」と孤独感が癒やされるでしょう。自治体によっては親の会にファシリテーター(進行役のカウンセラー等)を派遣してくれるところもあります。

また、心理カウンセリングも支援制度の一つです。自治体の教育センターや保健センターで臨床心理士による無料カウンセリングを定期的に受けられる場合があります。必要に応じて医療機関(心療内科や児童精神科)と連携し、治療や投薬がサポートされるケースもあります。経済的に負担が大きい場合は、医療費の公的助成(自立支援医療など)を利用できることもありますので、専門家に相談してみてください。

学校側の制度としては、在籍校の校長判断でフリースクール等に通った日を出席扱いにできる制度や、オンライン学習を導入して自宅学習をフォローする仕組みなども拡充しつつあります。2024年には文部科学省が、不登校児童生徒が学校外で行った学習成果を成績評価に反映できるよう省令を改正しました。実際に、フリースクール等で指導を受け「出席扱い」となった不登校児童生徒が全国で32,623人、自宅でICTを活用して学習活動を行い「出席扱い」となった児童生徒が10,409人に達しています。つまり、学校の外でも学び続けていれば「欠席」にはならない仕組みが整いつつあるのです。このような制度も上手に利用すれば、親の「このままでは成績が…」「進級が…」という不安も和らぐでしょう。

このように自治体や学校のサポートを活用することで、親が一人で抱え込まなくても済む環境を作ることができます。公的支援に遠慮はいりません。支援を受けることは親の甘えではなく、子供のためにも必要なことなのです。利用できるものは積極的に利用し、親の負担を減らすことが結果的に子供のためになると心得ましょう。

3-3.一人で抱え込まないことが重要

仕事と不登校対応を両立しようとすると、親自身が疲弊してしまうことがあります。真面目な親御さんほど、「自分が頑張らなくては」と全てを背負い込んでしまいがちです。しかし、決して一人で抱え込まないでください。家族や親戚、専門機関に頼ることで、無理のない対応が可能になります。

まず、家庭内での役割分担を見直しましょう。共働きの場合、配偶者とよく話し合い、どちらがどの時間帯に子供を見るか決めておくと負担が偏りません。例えば「朝は母親が対応し、夕方以降は父親が見る」「平日は母親メインで動く代わりに土日は父親が子供と過ごす」などです。シングルペアレントの場合でも、祖父母や信頼できる親戚に協力を仰げないか検討してみましょう。子供が家にいる日中、祖父母に様子を見に来てもらうだけでも親の安心感は違います。

次に、周囲に気持ちを吐き出す場を持つことです。誰にも話せず一人で悩んでいると、親の心がもたなくなります。身近な友人やママ友でも構いませんし、前述の親の会に参加して同じ境遇の仲間と話すのもよいでしょう。「うちの子が学校に行かなくて…」と話すのは勇気がいるかもしれませんが、案外打ち明けてみると相手も「実はうちも…」と悩みを共有してくれたり、有益な情報をくれたりするものです。人に話すことで自分の気持ちが整理され、少し楽になる効果もあります。

さらに、プロの手も借りましょう。スクールカウンセラーや臨床心理士、あるいは精神科医など専門家に相談することは決して大げさなことではありません。親がカウンセリングを受け、気持ちの整理をつけたりストレスコーピングの方法を学んだりすることは、結果的に子供の支えにつながります。実際、公的な相談窓口では「保護者への支援」も重視されています。親が経済的・精神的に追い詰められると家庭の雰囲気が悪くなり、子供が責任を感じてしまう――そんな悪循環を防ぐためにも、親へのサポート充実は喫緊の課題だという指摘もあるほどです。

仕事との両立で親が疲れたと感じたら、ときには思い切って休息をとることも必要です。会社を休むことが難しければ、半日だけ有給を取って自分の趣味に時間を使うとか、子供が好きなことをしている間に親も一緒にリラックスするとか、小さなリフレッシュを取り入れてください。子供のためにと頑張りすぎて親が倒れてしまっては元も子もありません。親が安定していることが子供の安心感につながるのです。

不登校対応は長期戦になることもあります。親も適度に肩の力を抜き、周囲に頼りながら進めることが大切です。「うちの子の問題だから自分たちで何とかしなきゃ…」と思いつめず、行政や学校、親戚、ご近所、いろいろなリソースに助けを求めてください。一人で背負わないことが、不登校解決への近道でもあります。親が笑顔でいられる余裕を取り戻せれば、きっと子供にも良い影響が伝わるはずです。

4.中学生 高校生の不登校からの回復と進路の考え方

不登校になっても、将来の選択肢がなくなるわけではありません。むしろ不登校をきっかけに、自分に合った道を模索し歩み出した先輩たちも大勢います。「学校に行けなかった期間=無駄な空白」では決してありません。不登校の経験を踏まえて、その子に合った進路を考えることが重要です。ここでは、不登校からの段階的な復学方法や、多様な進路の選択肢について解説します。

4-1.段階的な復学を目指す

不登校からいきなり以前と同じように毎日フルで登校するのは、子供にとって大きな負担です。そこで、段階的に学校復帰を目指す方法があります。具体的には、保健室登校や別室登校といった形で、最初は教室以外の安心できる場所に登校するところから始めてみます。一日中授業を受けるのではなく、最初は短時間だけ学校に滞在してみるのも良いでしょう。例えば「午前中のホームルームだけ出てみる」「放課後に先生と話をしに行く」といった具合に、小さな一歩から慣らしていきます。

学校によっては、図書室やカウンセリングルームなどを別室登校用の教室として開放している場合があります。そこに登校してプリント学習をしたり、本を読んで過ごしたりすることから再スタートするのです。直接のきっかけ(いじめや人間関係など)から距離を置いて安全基地的な場で過ごすことで、徐々に「学校に行く」ことへの抵抗感を和らげることができます。

段階的復学のポイントは、子供のペースに合わせることです。周囲はどうしても「早く普通に通えるようになってほしい」と焦るかもしれませんが、無理強いは禁物です。部分的な登校でも立派な前進です。まず週に1回でも学校へ足を運べたら大いに褒めてあげましょう。それが徐々に週2回、週3回と増えていけば良いのです。あるいは最初は2時間だけだった滞在時間が半日になり、やがて1日になっていくかもしれません。そうした小さな成功体験を積み重ねることで、自信を取り戻すことができます。専門家も「朝起きる時間や食事・睡眠リズムを整えつつ、まずは部分的な登校やフリースクール利用などから始め、少しずつ登校意欲を引き出すことが大切」と述べています。

段階的復学には学校側の協力も不可欠です。保護者と担任の先生が連絡を密にし、登校時間や場所の調整を柔軟に行えるようにしましょう。「今日は保健室で自習できました」「明日は3時間目から登校させたい」など、その都度相談しながら子供に無理のない計画を立てます。学校としても、不登校の子をいきなり教室に戻すより段階的にサポートするほうが再登校が長続きしやすいことを理解しています。必要ならスクールカウンセラーや養護教諭にも間に入ってもらい、チームで子供の復学を支える体制を作りましょう。

親はつい「ちゃんと授業についていけるのか」「みんなにどう思われるか」など先の心配をしがちですが、まずは一歩踏み出せた事実を大事にしてください。その一歩一歩が子供にとっては大きな成長です。小さな達成を共有し、一緒に喜びながら、次のステップへの意欲へとつなげていきましょう。

4-2.通信制高校や定時制高校の選択肢

高校生の場合、通信制高校や定時制高校など柔軟な学び方を選ぶことができます。中学生で不登校になった場合も、進路としてこれらを視野に入れることで、不登校でも無理なく学び続けることが可能です。

通信制高校とは、自宅学習が中心の高校です。毎日通学する必要はなく、自分のペースで勉強を進められるのが大きな特徴です。スクーリング(面接指導)と呼ばれる定期的な登校日が設けられていますが、学校によっては月1回程度から週1~2回など様々で、自分で通学頻度を選べる場合もあります。レポート提出やメディアを使った授業受講がメインとなるため、朝起きられなくても深夜に勉強するなど時間に融通が利く点も、不登校経験者には向いています。さらに通信制高校の多くは個別サポートが充実しており、一人ひとりの学習状況に合わせて先生がフォローしてくれます。通信制と聞くと「大学進学が難しいのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、今や通信制高校から大学や専門学校に進む生徒も珍しくありません。就職指導なども行っており、全日制高校と比べて進路が劣るということは決してありません。

定時制高校は、いわゆる夜間高校などと呼ばれるものです。授業は夕方から夜間にかけて行われるため、昼間は家で休んだり働いたりして、生活リズムを通常とはずらした形で通学できます。1日の授業時間が短く設定されていたり、履修する科目数を調整できたりするため、全日制よりもゆったりしたペースで高校課程を履修できます。不登校経験者の中には、朝の通学がハードルになっていた人も多く、夜なら通えるというケースがあります。また定時制には年齢制限がなく、様々な年齢・バックグラウンドの生徒が在籍しているため、多様性があり人間関係のプレッシャーが少ないという利点もあります。

近年、こうした通信制・定時制を選ぶ生徒は増加しています。不登校だった中学生の進路選択として、通信制高校を検討している家庭が約48.5%、定時制高校が26.0%に上ったとの調査もあります(複数回答)。これは全日制高校(40.0%)を上回る割合で、多くの保護者が無理のない形で高校進学を考える傾向が伺えます。子供一人ひとりに合った進路を模索した結果、特に通信制高校を検討する家庭が最も多かったという調査結果もあり、不登校からの高校進学は多様化しているのです。

中学生のお子さんをお持ちの保護者にとっても、「高校は全日制に行かせなければ…」と固く考える必要はありません。むしろ想像以上に多様な進学の形が用意されており、普通高校以外の選択肢へ進む子もたくさんいます。通信制・定時制の他にも、高等専門学校(高専)や高等専修学校(専門学校の高校課程)への進学、さらには高校に行かず高卒認定試験を取得して大学や専門学校に進む道、すぐに就職する道など、選択肢は実にさまざまです。重要なのは、お子さんに合った環境は何かを見極めることです。全日制高校が最適とは限りません。不登校を経験した子にとっては、通信制や定時制といった柔軟な環境の方が生き生きと学べる場合も多々あります。

もし現在高校生で不登校になってしまった場合でも、転学や編入という制度があります。例えば全日制高校から通信制高校へ編入して仕切り直すことも可能です。在籍校の単位を引き継いで通信制で学び直せば、高校中退という形を取らずに卒業資格を得ることができます。また「今の高校ではなく別の環境でやり直したい」という場合、思い切って転校するのも一つの手です。通信制高校やサポート校などでは、不登校だった生徒の転入を受け入れるケースが多くあります。特に高1・高2の早い段階であれば、転校先での再スタートもしやすいでしょう。

大切なのは、不登校になったからといって高校進学や卒業をあきらめる必要は全くないということです。むしろ今は社会全体が多様な学びの場を用意する方向にシフトしています。教育機会確保法(2016年成立)にも、不登校児が学校外で多様な学びを得られるよう支援する旨が明記されており、通信制高校やフリースクールの充実、親の会のサポートなどが国や自治体レベルで進められています。ですから、どうか視野を狭めず、お子さんにとって最善と思える高校生活の形を一緒に考えてあげてください。周りが全日制高校に進むからといって焦る必要はありません。お子さんのペースで学べる環境こそが、その子に合った進路なのです。

4-3.フリースクールやオンライン学習の活用

学校以外の学びの場として、フリースクールやオンライン学習があります。これらは不登校の子供にとって有効な選択肢です。無理に学校という枠組みにとらわれず、自分のペースで学習できる環境を確保することで、子供の「学び」を止めないようにできます。

フリースクールとは、学校外で子供たちが自由に過ごし学べる場です。NPO法人や民間団体が運営しているケースが多く、登校は強制されず、子供が行きたいときに行ける柔軟さがあります。カリキュラムも学校のように画一的ではなく、その子の興味関心やペースに合わせてプログラムが組まれることが多いです。例えば、ある日はみんなでクッキングをしたり、別の日は好きな本を読んだり、また別の日はスタッフとマンツーマンで勉強したりと、子供自身が主体的に活動を選べるところが魅力です。

フリースクールに通うことで、家から出る習慣や他者とのコミュニケーションの機会が生まれます。「学校ではないけど家でもない第3の居場所」ができることで、子供の世界が広がります。そこで信頼できる大人(スタッフやボランティア)や仲間と出会い、自己肯定感を取り戻す子も多くいます。「学校に行かなくてもここに行けば誰かに会える」という居場所があるだけで、子供の心の安定につながります。自分のペースで学習を進められるため、学び直しながら新たな進路や目標を見つける機会も得られるとされています。

フリースクールは学校ではありませんが、最近では在籍校と連携して出席扱いにする動きも広がっています。前述の通り、文科省の制度でフリースクール等での学習が出席と認められる場合があり、自治体によってはフリースクール利用料の補助もあります。中学・高校の在籍を維持しながらフリースクールに通い、高校進学や復学につなげたケースも珍しくありません。フリースクールへの通所は決して「逃げ」ではなく、次の一歩への準備期間と考えてよいのです。

一方、オンライン学習の充実も見逃せません。インターネット環境さえあれば、自宅にいながら授業を受けたり教材に取り組んだりできる時代になりました。特にコロナ禍以降、オンライン授業やオンライン家庭教師サービスが飛躍的に発展しました。不登校の子供にとって、教室に行かなくても自宅で勉強を続けられる手段があることは大きな救いです。例えば、在籍校がリモート授業を提供している場合、それに参加すれば学習の遅れを取り戻せます。また民間のオンラインスクールや通信教育を利用して、得意な科目から学び直すこともできます。保護者向けの不登校支援サービスの中には、プロの家庭教師がオンラインで勉強を見ると同時に親の相談にも乗ってくれるものもあります。 オンライン学習の利点は、子供の好きなタイミングで好きなだけ取り組める点です。昼夜逆転している子でも深夜に動画授業を視聴できますし、人と会うのが不安な子でも画面越しになら比較的リラックスして話せるということもあります。リアルな登校が難しい間は、オンラインで知的好奇心を満たしたり、勉強の習慣を維持したりするのも有効です。先述のように、オンライン学習で得た知識や技能も学校の成績に反映できるようになりつつあります。つまり、「学校に行かない間は勉強が全くできない」という状況ではなく、代わりにオンラインで学んでいればそれが公式に評価される道も開けています。

もちろん、オンラインだけでは補えない部分(実技科目や実習、人との交流による成長など)もありますから、フリースクールや家庭での体験活動と組み合わせるのが理想です。例えばオンラインで勉強しつつ、週に一度はフリースクールで友達と会ってみる、といったハイブリッドなやり方もできます。最近は「不登校特例校」といって、公立校でありながらフリースクールのように自由度の高い学習を提供する学校も登場しています。自治体によりますが、こうした新しいタイプの学校への編入や転校を支援する仕組みもあります。親子で情報を集め、さまざまな学びの場を検討してみてください。

重要なのは、不登校=学びの停止ではないということです。不登校期間中も子供は日々成長しています。興味を持った本を読んだり、プログラミングに熱中したり、絵を描いたりゲームで友達と交流したり――それらも広い意味での「学び」です。学校という枠組みにとらわれず、子供がイキイキと学べる場を確保してあげることが、将来への活力につながります。フリースクールやオンライン学習は、そのための心強い選択肢です。

5.中学生・高校生 子供が不登校になったら長期的に考えるべきこと

不登校は一時的な問題ではなく、長期的な視点での対応が必要です。目先の復学だけでなく、その後の子供の自己成長や将来設計まで見据えてサポートしていくことが大切です。不登校期間を「将来に向けて必要な充電期間」と捉え、親子で焦らず歩んでいきましょう。ここでは、不登校対応において長期的に意識したいポイントを解説します。

5-1.自己肯定感を育てる

不登校の子供は自己肯定感が低下しやすいです。学校に行けない自分を責めたり、「自分はダメな人間だ」と感じてしまったりしていることが少なくありません。だからこそ、小さな成功体験や努力を認めることで自信を回復させることが重要です。

前述したように、生活リズムを整えたり部分登校をしたりといった小さな一歩一歩を、周囲がしっかり評価してあげてください。「今日は昨日より早く起きられたね、すごい!」「宿題に手をつけられたなんて頑張ったね」――どんな些細なことでも構いません。親が子供の努力や成長に気づき、言葉に出して伝えることが、子供の自己肯定感を育む大きな力になります。

また、子供の「好き」や「得意」を伸ばすことも自己肯定感向上に効果的です。勉強が苦手でも、例えばゲームの攻略が上手だったり絵が上手に描けたりするかもしれません。親としては「苦手を克服させなきゃ」と思いがちですが、それ以上に得意なこと・好きなことを認めて伸ばす方が本人の自信につながります。「○○が上手だね」「その絵、すごくいいね」と親が共感・賞賛するだけでも、子供の自己評価は大きく高まります。

例えば、好きなゲームに打ち込んでレベルを上げたとします。それは一見ただの遊びですが、本人にとっては「やり遂げた」という達成感になっているかもしれません。親がそれを「すごいじゃない!努力したんだね」と認めれば、その子にとっては立派な成功体験です。勉強以外の分野で成功体験を積むことで自己肯定感が高まり、やがて学校生活への意欲が戻ってくるという指摘もあります。実際、不登校を経験した子が、好きなプログラミングや音楽で才能を発揮して自信をつけ、その勢いで高認取得や復学を果たした例もあります。

要するに、親は子供の「いいところ探し」を意識して行うことが大切です。学校に行けていないという一点にとらわれると、つい否定的な言葉が増えてしまいがちですが、それでは子供の自己肯定感は下がる一方です。そうではなく、「○○ができたね」「○○してくれて助かったよ」などプラスの声掛けを積極的に行いましょう。それがどんなに小さなことでも、積み重なれば子供の心に「自分は価値のある存在だ」という芯が育っていきます。

5-2.将来の選択肢を広げる

不登校になったからといって、将来の選択肢が狭まるわけではありません。むしろ前述したように、現代においては不登校を経験した子供たちには多様な進路が用意されています。一般的な進学ルート(中学→高校全日制→大学など)にこだわる必要は必ずしもありません。

例えば高校一つ取っても、全日制があれば通信制や定時制もありますし、高卒認定試験を目指すことや専門学校への進学、就職、海外留学や国内のフリースクール的な寮制プログラムに参加する道など、実にさまざまな選択肢があります。実際、不登校から高校・大学と進学した人もいれば、高校には行かずに起業した人、手に職をつけて働いている人など多様です。大切なのは「本人が納得できる進路」を選ぶことに尽きます。

保護者としては、「このまま進学しなかったら就職で不利では?」「学歴がないと大変では?」と不安になるかもしれません。確かに今なお高卒・大卒資格が重視される場面はあります。しかし、人生は長い目で見れば一度きりのレールだけではありません。仮に高校にすぐ進学しなくても、後から高認を取って大学に行く人もいます。大学に行かなくても好きな専門分野で才能を開花させる人もいます。何より、無理に「普通」に合わせて心を病んでしまっては元も子もありません。多様な選択肢があるからこそ、焦らず一度立ち止まってお子さん自身が自分と向き合う時間を取ってほしい、という専門家のアドバイスもあります。

不登校期間中は、子供が将来について考える余裕がないかもしれません。しかし少し落ち着いてきたら、「将来どんなことをしてみたい?」といった対話を始めてみても良いでしょう。その際、決して「○○しなさい」と方向を押し付けるのではなく、「○○や○○って選択肢もあるけどどう思う?」と選択肢を一緒に情報収集するスタンスが望ましいです。親が情報を集めて提示し、最終的には子供の「これをやってみたい」という気持ちを引き出すようにします。

例えば、中学不登校で高校進学を迷っている場合、通信制高校・定時制高校・高等専修学校・高等専門学校・高卒認定試験・留学・就職などリストアップして一緒に調べてみるのも良いでしょう。幸い、今はインターネットで様々な体験談やデータが得られます。不登校経験者の進路に関するインタビュー記事や、各学校種別の卒業後の進路統計なども公開されています。例えば内閣府の調査によれば、中学で不登校だった子の卒業後約4年後の状況は、79.7%が学校や仕事、資格取得など何らかの形で将来に向け歩みを進めており、「何もしていない」人は16.5%に留まったというデータもあります。このように、多くの不登校経験者がそれぞれの道で社会と関わりを持っているのです。こうした情報を子供と共有すれば、「自分にも未来があるんだ」と安心材料になるかもしれません。

親自身も視野を広げる努力が求められます。どうしても自身が歩んだ経験(自分は普通高校→大学だった等)から外れた進路には不安を覚えるものです。しかし今の時代、決して一つのルートを外れたからといって人生が行き止まりになることはありません。むしろ、多様なルートがあるからこそ子供は救われます。親がそのことを理解し、子供に伝えてあげることが大切です。「高校行けなくても大丈夫な人はいっぱいいるよ」「遠回りしても全然OKだよ」と言ってもらえれば、子供もプレッシャーから解放され、自分のペースで進路を考えることができるでしょう。

5-3.親自身のメンタルケアも重要

子供の不登校は親にとっても大きなストレスです。心配や不安、焦り、時には怒りや悲しみなど様々な感情に翻弄され、精神的に疲弊してしまう親御さんも少なくありません。だからこそ、親自身のメンタルケアも怠らないようにしましょう。

前述のアンケートでは、不登校児を持つ親の66.7%が「不登校の原因が自分にあるかもと自分を責めた」、53.1%が「孤独感・孤立感」を抱いたと回答しています。これほど多くの親御さんが自責の念や孤独に苛まれているのです。「自分の育て方が悪かったのでは」「周りに相談できない」といった思いで追い詰められている親は決して珍しくありません。しかし、どうか忘れないでください。あなたは一人ではないということを。不登校は決して親のせいではなく、誰にでも起こり得る現象なのです。まずはご自身をあまり責めすぎず、「うちの子に今起きているのは、たまたま環境がミスマッチな『現象』にすぎない」と捉えてみてください。文部科学省も「不登校を問題行動と判断してはならない」という通知を出しているほどで、不登校そのものは決して「悪」ではないのです。そう考えるだけでも、少し肩の荷がおりるのではないでしょうか。

その上で、親御さん自身がしっかり休息を取ることも必要です。眠れていますか?食事はちゃんと取れていますか?子供のことで頭がいっぱいで自分のことを後回しにしていないでしょうか。子供のためにも、親が健康でいることが何より大事です。夜眠れないならお医者さんに相談してみる、趣味やリラックスできる時間を意識的に確保する、友人とのおしゃべりでストレス発散するなど、自分を労わる時間を持つようにしましょう。

また、専門家に話を聞いてもらうのも有効です。スクールカウンセラーや臨床心理士は子供だけでなく親の話も聞いてくれます。親が泣きながら胸の内を明かすだけでも、心が軽くなることがあります。医療機関でカウンセリングを受けることに抵抗があるかもしれませんが、決して特別なことではありません。むしろ客観的な視点を持つ第三者に話すことで、家族では気づけなかった解決策が見えることもあります。

親自身のケアがおろそかになると、家庭全体の雰囲気が悪くなりがちです。親が疲れ切ってピリピリしていると、子供は「自分のせいで親がこんなに辛そうだ」と余計に罪悪感を抱いてしまいます。そして親子ともに悪循環に陥ってしまいます。そうならないためにも、親御さんは適度に肩の力を抜いて、自分の心に余裕を持たせる努力をしてください。例えば毎晩寝る前に5分間ストレッチや深呼吸をする、好きなお笑い番組を観て笑う、日記に感情を書き出す、短時間でも構わないので一人で散歩する等、できることから始めてみてください。

「自分がしっかりしなきゃ」と完璧を目指す必要はありません。親も「完璧でなくて大丈夫」と自分に言い聞かせ、見守る勇気を持つことが大切です。多少うまくいかない日があってもいいのです。一進一退は当たり前。不登校対応は長距離走ですから、親もペース配分を考え、たまには立ち止まって水分補給(休養)してください。 繰り返しになりますが、親が安定していることが子供の安心感につながります。お子さんのためにも、まずは親御さん自身が元気でいることを最優先してください。必要なら行政の保健師さんや精神保健センターに相談し、親向けの支援(育児相談や親グループセラピーなど)がないか尋ねてみましょう。
にもあるように、「親への支援充実は喫緊の課題」として国も取り組み始めています。どうか一人で抱え込まず、頼れるものには頼ってください。親御さんの笑顔が戻ることが、きっとお子さんにとって何よりの朗報になるはずです。

6.まとめ 中学生 高校生 子供が不登校になったら冷静な対応が鍵

中学生・高校生の子供が不登校になったら、親としては心配でたまらなくなるでしょう。しかし、まずは焦らず子供の気持ちに寄り添うことが重要です。原因を無理に追及するのではなく、子供の「今しんどい」という気持ちを受け止め、安心できる環境を整えましょう。不登校は決して珍しいことではなく、誰にでも起こりうる現象です。適切な対応をとれば状況は必ず改善できます。

不登校になりやすい家庭の特徴として、過度な期待やプレッシャー、コミュニケーション不足、家庭内ストレスなどが挙げられました。思い当たる点があれば、家庭環境を見直し、子供にとって安心できる居場所作りに努めてください。毎日の挨拶や会話、小さな成功体験の積み重ねが子供の心を支えます。

また、仕事との両立に悩んだ場合は、支援制度を活用しつつ無理のない対応を心がけましょう。すぐに退職を決断するのではなく、柔軟な働き方や周囲の協力によって乗り切る道を探ってください。自治体や学校にも使える制度や相談先がたくさんあります。一人で抱え込まずに周囲に頼ることが、結果的に子供のためにもなります。

不登校は決して終わりではなく、むしろ新しいスタートのきっかけにもなります。長期的な視点に立って、子供の自己肯定感を育み、将来の多様な選択肢を一緒に探っていきましょう。不登校を経ても子供が納得できる進路やキャリアを築いていくことは十分可能です。通信制高校やフリースクール、高卒認定など、今はたくさんの道があります。親御さんもどうか視野を広く持ち、お子さんのペースを尊重してください。

最後に、親自身の心のケアも忘れないでください。親が安定して笑顔でいることが、子供にとって何よりの支えになります。不登校対応は長い旅路ですが、焦らず一歩ずつ進んでいけば、きっと出口は見えてきます。お子さんの未来はこれからいくらでも拓けます。適切な対応と長期的な視点で、親子でゆっくりと乗り越えていきましょう。あなたの子供には無限の可能性があり、そしてあなた自身も決して一人ではありません。親子で歩むこの経験が、将来振り返ったとき「新しい道を見つける転機だったね」と言えるようになることを信じて、寄り添い続けてください。

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