助産師は、女性の妊娠から出産、産褥(産後)にかけて適切なサポートや助言を行う専門職です。
母体・胎児の健康管理はもちろん、妊婦やその家族への生活指導・育児指導も担い、その職務には高い専門性と責任感が求められます。
助産師になるには、国が定める教育課程を修了し、助産師国家試験に合格する必要があります。
法律上も「助産師になるには看護師国家試験と助産師国家試験の両方に合格すること」が必須と規定されています。
そのため、まず看護師資格を取得し、その後に助産師養成課程を経て国家試験に臨むのが基本ルートです。
以下では、助産師になるための詳しいステップや必要な条件を解説していきます。
1. 助産師のなりかたと必要な資格
助産師になるには、段階を踏んで看護師資格と助産師資格の取得を目指します。
必要なステップは次のとおりです:
看護師資格の取得: 看護系大学・短大・専門学校等を卒業し、看護師国家試験に合格して免許を取得します。
助産師養成課程への進学: 看護師資格を得た後、助産師養成の課程(助産師学校や大学院、専攻科など)に進み、必要な学科の単位を修得します。
助産師国家試験の合格: 養成課程を修了すると受験資格が得られ、助産師国家試験に合格すれば助産師免許の取得となります。
このように、いきなり助産師になることはできず、まず看護師になる必要がある点が他の医療職との大きな違いです。
助産師は妊娠中・出産時・産後も含めて女性と胎児の健康に関わるため、看護の基礎知識・技術が不可欠だからです。
1-2. 看護師資格が必須な理由
助産師は出産だけでなく、妊娠前後のケアや母乳育児支援など広範囲な業務を担います。
そのため、看護学で学ぶ身体の解剖・生理・薬剤・救急対応などの基礎知識が前提となります。
医療現場では母子の命を扱う重要な役割を担うため、常に冷静な判断が求められます。
以上の理由から、助産師養成においては看護師資格の取得が大前提とされています。
1-3. 助産師に求められる適性
助産師には、細やかな業務を正確に行うための資質が求められます。
主な要素は次の通りです:
責任感と冷静さ:妊婦さんと赤ちゃんの命を預かる責任重大な職業のため、緊急時も落ち着いて対処する能力が必要です。
高いコミュニケーション能力:患者やその家族、医師・看護師との連携が欠かせないため、わかりやすく的確に情報を伝えられる力が重要です。
体力と精神力:出産はいつ起こるかわからず夜勤や長時間労働も多いため、体力・精神的タフさが求められます。
思いやりと共感力:産前・産後の女性は不安定になりやすく、気持ちに寄り添う姿勢が必要です。
これらの資質があってこそ、母体・新生児に安全で温かいケアを提供できるようになります。
2. 助産師になるまで何年かかるのかを解説
助産師資格取得までに必要な期間は、選択するルートによって異なります。
代表的なルートごとの学習期間目安を整理します。
2-1. 最短ルートで何年かかるか
最も一般的なルートは、4年制の看護系大学を卒業後に1年間の助産師養成課程を履修する方法です。
この場合、大学4年間で看護師資格を取得し、卒業後の1年間で助産師教育を受け、合計で5年ほどかかります。
また、一部の看護大学では学部在学中に助産師課程が設置されており、4年次に必要な単位を修めることで同時に看護師・助産師国家試験を受験できる場合もあります。
これにより、4年で看護師と助産師の両方をめざせるケースもあります(ただし入学時に選抜があることが多いです)。
2-2. 専門学校ルートの場合
看護専門学校(3年制)で看護師資格を取得し、その後助産師養成課程(1年)に進むルートもあります。
この場合は、看護専門学校3年+助産課程1年=4年で助産師国家試験の受験資格が得られます。
看護専門学校は病院などが運営することが多く学費が比較的安い特徴がありますが、助産課程へ進むにはさらに別途受験・選抜が必要です。
2-3. 社会人からの場合に何年かかるか
社会人経験者が助産師を目指す場合も、基本的な流れは同様です。
まず看護師資格の取得(大学4年、専門学校3年など)に3~4年程度を要し、その後1年程度の助産師養成課程を受講します。
つまり、合計で4年から5年程度の学習期間が必要になるケースが一般的です。
仕事を辞めて学び直す場合は学費や生活費の準備が重要となるため、計画的に進めることが大切です。
3. 助産師の目指しかたと進学ルート
助産師をめざす教育ルートは大きく分けて次の3つがあります。
3-1. 大学で看護と助産を学ぶルート
看護系大学(看護学部)に入学し、在学中に助産師課程を履修する方法です。
入学時や3年次あたりで助産師コースへの選抜試験があり、合格した学生が4年次に助産師に必要な科目と実習を履修します。
4年次に看護師国家試験と助産師国家試験の両方に臨める大学もあり、この場合最短4年での資格取得が可能です。
ただし、このような学部は定員が非常に少なく、競争率も高くなりやすい点が特徴です。
3-2. 看護師取得後に進学するルート
もっとも一般的なのは、一度看護師資格を取得してから助産師養成機関に進むルートです。
看護大学・看護専門学校・短大などで看護師資格を取得し、卒業後に助産師学校や大学の専攻科、大学院へ進学します。
助産師養成課程(通学1~2年)を修了すると受験資格が得られます。
このように段階的に学ぶ方法は社会人経験者にも取り組みやすいメリットがあります。
3-3. 大学院進学という選択肢
近年は、大学院(修士課程)で助産学を学ぶルートも増えています。
大学院修士課程(2年)や、大学の専攻科(1年)で助産師国家試験受験資格を取得する方法です。
例えば、大学院2年間で助産師資格の取得を目指す場合、国公立で学費約135万円、私立で200~350万円ほどかかることが報告されています。
一方、専攻科(大学院と同じく学士後の1年課程)では、公立で約70万円、私立で100~180万円ほどが学費の目安とされています。
より高度な知識習得や研究を重視する方は、このようなルートも検討できます。
4. 助産師を目指せる大学の選び方
助産師課程を持つ学校は限られており、選択する際には以下の点を確認しましょう。
4-1. 助産師課程がある大学の特徴
助産師課程を設置する大学(看護学部など)は定員が非常に少なく、選抜試験が課されることが一般的です。
例えば順天堂大学看護学部では、助産師受験希望者が多い場合、3年次に筆記試験と学業成績で10名程度を選抜します。
また、附属病院や連携施設を持つ大学では、実習先が確保しやすく実践的な学びが得られます。
実習体制が充実した環境であるかも重要なポイントです。
4-2. 大学選びのポイント
志望校を選ぶ際は、国家試験合格率や教育カリキュラム、実習環境、就職支援体制などを総合的に比較しましょう。
特に助産師国家試験は実技や筆記があるため、過去問対策や模擬演習をサポートしている学校かどうかは重要です。
また、通学しやすい立地か、奨学金制度や学費免除制度があるかも検討材料になります。
これらの条件を学校パンフレットや公式サイトで確認した上で、自分に合った進学先を選ぶとよいでしょう。
4-3. 国公立と私立大学の違い
国公立大学では学費が比較的安い一方、入学難易度は高めです。
国公立看護学部(4年)では学費総額がおよそ250万円前後が目安とされます。
一方、私立大学は学費が高額ですが、学校ごとのカリキュラムや入試方式の選択肢が豊富です。
私立看護大学の場合、4年で学費総額約450~800万円かかることがあります。
助産師課程の難易度は学校によって差がありますが、人気学部は受験競争が激しいので、自分の学力や家庭の経済状況に合った進路選択が肝心です。
5. 助産師になるための学費と費用
助産師養成には、まず看護教育にかかる学費と、その後の助産師教育にかかる費用の両方が必要です。
以下に目安を示します。
5-1. 看護学校の学費
国公立大学(4年): 約250万円前後。
私立大学(4年): 約450~800万円。
大学によって差が大きいです。
看護専門学校(3年): 公立校は学費が安く、私立校で約250~450万円(3年間合計)のケースが多いです。
なお、看護系の短大(3年)は私立中心で学費約400万円程度になることがあります。
これらの学費に加え、下宿費用や教材費、通学費用等も必要になります。
5-2. 助産師課程の学費
看護師資格取得後に進学する助産師養成課程(1年)がある学校の場合、学費は約100~250万円ほどが一般的です。
国公立が母体の養成所のほうが比較的低額で、私立系では高めになる傾向があります。
養成課程では演習や実習が多く含まれるため、実習用の医療器具や教科書代、制服代なども別途かかります。
5-3. その他に必要な費用
学費以外にも、助産師を目指す際には以下の費用が想定されます:受験料、予備校費用、入学金、施設利用費、実習費、教材費、生活費など。
とくに助産師養成課程は全国でも学校数が限られるため、地元に適当な学校がない場合は引っ越しや一人暮らしが必要になることもあります。
実習期間中はアルバイトがしにくいため、資金計画は十分に立てておくことが重要です。
6. 助産師の仕事と将来性
助産師は専門性が高い職業であり、今後も需要が見込まれる仕事です。
ここでは主な就職先や賃金、キャリアパスなどを見てみましょう。
6-1. 主な勤務先
助産師の勤務先は主に出産に関わる医療機関です。
具体的には病院の産科病棟や産婦人科クリニックが中心で、周産期母子医療センターや保健所など公的機関で働くこともあります。
また、助産師には開業権が認められており、助産院を自ら開業するケースも増えています。
独立開業した助産院では地域の妊産婦に寄り添ったケアを提供し、医師や他機関と連携して母子保健に貢献しています。
6-2. 年収と働き方
助産師の平均年収は高水準で、厚生労働省の賃金構造基本統計では約570万円(令和5年実績)と報告されています。
これは看護師の約508万円と比べても1割以上高い傾向です。
年収は病院規模や地域、経験年数によって変動しますが、大都市の総合病院では600万円以上になる例もあります。
助産師は夜勤や分娩立会いがあり手当がつくほか、出産ラッシュ時には長時間勤務になることもあります。
その分やりがいは大きく、経験を積むほど高収入を得やすい職種と言えます。
6-3. キャリアアップの可能性
助産師として経験を積むことで、さまざまなキャリアパスが開けます。
前述のように助産院の開業はその一つで、自ら独立して運営する助産院を開く助産師もいます。
また、病院や看護学校・助産師学校での教育者として働く道もあり、後進の育成に携わることが可能です。
さらに、母乳育児支援や不妊ケア、高度周産期医療など、特定分野のスペシャリストとして活躍する選択肢もあります。
日本助産師会など専門団体が認定する認定助産師制度を取得すれば、さらに専門性を高めて診療室や行政で指導的役割を担うこともできます。
7. 助産師のなりかたと何年かかるかを理解して計画的に目指そう
助産師は女性の人生に深くかかわる責任ある仕事であり、高い専門性と実践力が求められます。
助産師になるには、まず看護師資格を得てからさらに助産師教育を受けるという段階的なステップを踏む必要があります。
学習期間の目安はルートによって異なりますが、最短でも4~5年程度は必要となります。
進路選択では、学費や入試難易度だけでなく、国家試験合格率や実習環境、就職支援体制なども重視し、自分に合った学校を選びましょう。
専門性の高い職業であるからこそ、早めの情報収集と計画的な準備が成功の鍵となります。
しっかりとした情報に基づいて進路計画を立て、夢である助産師への道を着実に歩んでいきましょう。


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