近年、進学実績の伸びと“入ってから学力が伸びる学校”として注目を集めている安田学園。偏差値はどのくらいなのか、GMARCHや早慶への進学実績は強いのか、指定校推薦は充実しているのかなど、気になる人も多いはずです。この記事では、学校公式情報や各種データをもとに、安田学園の偏差値・人気の理由・進学実績・校風まで詳しくわかりやすく解説します。
安田学園の偏差値はどのくらいか
高校偏差値はS特と特進で分かれる
高校受験の目安としては、受験情報サービス「みんなの高校情報」2026年度版で、安田学園高校の偏差値はS特コースが63、特進コースが60とされています。学校公式の2026年度募集要項でも、第1学年の募集人数はS特120名・特進80名の計200名となっており、現在の高入募集がこの2コース体制であることが確認できます。したがって、いまの安田学園高校を語るなら、「S特か特進か」で難度や学習環境を考えるのが基本です。
ここで注意したいのは、古い学校紹介記事では「進学コース」を含めた3コース制で説明している場合があることです。しかし学校公式の沿革では、高校普通科の進学コースは令和6年に募集停止となっています。受験生や保護者が「安田学園は昔より偏差値が上がった」と感じる一因は、学校改革とコース再編によって、現在の高校募集がより進学志向に整理されている点にもあります。
中学受験の偏差値は模試によって見え方がかなり違う
中学受験では、安田学園の偏差値をひとつの数字で言い切るのは正確ではありません。たとえば四谷大塚の2026年中学受験対応データでは、Aライン80偏差値は2月1日午前が53、2月1日午後が55、2月2日以降の回も53〜54程度で推移しています。これに対して首都圏模試センターの学校データベースでは、安田学園中の偏差値は男子63〜66、女子63〜66と掲載されています。つまり、「安田学園中の偏差値は60前後」とだけ書くよりも、「どの模試基準か」を明記するほうが、はるかに読者に親切です。
さらに、学校公式の沿革では一貫部の総合コースは令和5年に募集停止となっており、現行の中学受験向け案内では「先進コース」を軸にした6カ年一貫教育が前面に出ています。したがって、中学受験の偏差値も、単に“昔より上がったかどうか”ではなく、学校の募集体制そのものが以前と変わっていることを踏まえて見る必要があります。
難化傾向は倍率面からも見える
安田学園中の人気上昇は、偏差値だけでなく入試結果の数字からも一定程度うかがえます。首都圏模試センターの2026年入試結果データでは、後半日程の4科入試で第4回が男子8.1倍・女子8.9倍、第5回が男子8.4倍と、かなり高い実質倍率になっている回がありました。学校公式サイトでも2026年度中学入試の入学者は288名、2025年度は246名と公表されており、受験者の関心が高い学校であることは確かです。もちろん、入学者数の増加だけで人気を断定することはできませんが、少なくとも「受けやすい穴場校」という見方は、いまの安田学園には当てはまりにくいでしょう。
「入学後に偏差値が上がる」と言われる背景
安田学園については、「入学時偏差値以上に出口が強い」「入ってから伸びる」といった語られ方をよく見かけます。学校が前面に出しているのも、まさにそのための仕組みです。中学側の学校完結型ページでは、学習指導検討会で教科担当者と学年団が学習状況と試験データを共有し、独習ウィーク、到達度テスト、朝15分のチェックテスト、放課後補習などを通じて、弱点把握と学習習慣の定着を図る仕組みが説明されています。さらに中学内容は3年生1学期までに修了し、その後は総復習と高校内容への接続に入る構成です。
高校側でも同様で、学校公式は定期試験・模擬試験のデータ分析に基づく個別指導、2年生3学期からの放課後進学講座、進学合宿、夏期・冬期講習、共通テスト模試演習、入試直前演習を整備しています。校長インタビューでも、英語・数学のチェックテストと補習、年2回の到達度テスト、高2の3学期からの志望大学別講座、自習室とチューター活用を含む「学校完結型の学習環境」が合格実績向上につながったと説明されています。つまり、「入学後に偏差値が上がる」というより、日々の管理と反復で学力を積み上げやすい学校と表現するほうが、実態に近いでしょう。
安田学園の進学実績はどう見るべきか
まず確認したいのは「進学実績=現役合格実績」という点
安田学園の公式進路ページは、見出しから明確に「大学合格実績(現役のみ)」として公表されています。つまり、この記事でいう進学実績も、実際の進学者数ではなく、公式が示す現役合格者数ベースで読むのが正確です。学校比較をするときにここを混同すると、「実績が盛られている/いない」という不要な誤解が生まれやすいので、まず定義をそろえることが大切です。
最新列では国公立・早慶上理・GMARCHがいずれも高水準
学校公式サイトの過去5年間表の最新列(2025年)を見ると、国公立大学計67名、早慶上理ICU・医学獣医科計125名、GMARCHレベル計342名、日東駒専計294名となっています。卒業生数は496名で、学校側の別資料でも校長が「今春は東大をはじめ国公立大学に過去最高の67名、早慶上理ICUに125名が合格した」と説明しており、少なくとも学校側の認識としては近年の実績は明確に上向きです。校長室だよりでも「今年度は、合格実績は、過去最高となりました」と述べられています。
個別大学を見ると私大上位層への厚みが目立つ
個別の大学名で見ると、最新列では早稲田27、慶應20、上智16、東京理科50と、いわゆる早慶上理の数字がしっかり出ています。GMARCHでも学習院36、明治69、青山学院30、立教45、中央44、法政102と厚く、さらに日本大学141、東洋大学119、駒澤大学27、専修大学38と、日東駒専まで含めた私大実績の層の厚さが安田学園の大きな特徴です。特に法政・明治・東洋・日本大あたりの数字は、都内私立進学校として非常に見栄えがします。
単年の当たり外れではなく、中長期の伸びで見るべき学校
数字を5年スパンで追うと、安田学園の実績上昇はよりはっきり見えます。たとえばGMARCHレベル計は129→210→222→277→342、国公立大学計は52→51→41→57→67と推移しています。もちろん年度ごとに卒業生数や受験学年の粒度は違うため、単純比較には注意が必要です。それでも、GMARCH層の合格者数がここまで増えていること、国公立の合格者数も直近で過去最高水準まで伸びていることから、学校全体の進学力が底上げされていると見るのが自然です。
GMARCHに強いだけでなく、理系・医学系にも軸足がある
安田学園が「MARCH向きの学校」として語られるのは間違いではありませんが、それだけで理解すると少し浅くなります。校長インタビューでは、近年は医学部をはじめ理系学部を志望する生徒が増えていると述べられており、理数教育強化のために理科実験室の増築計画やカリキュラム検討も進めていると説明されています。また、学校ニュースでも医学部受験説明会の開催が紹介されており、学校側が医学系進路をかなり意識していることが分かります。つまり、文系私大に強い学校であると同時に、理系上位層をどう育てるかにも本気で取り組んでいる学校です。
安田学園が人気を集める理由
学校完結型の学習環境がとにかく具体的
安田学園が支持される最大の理由は、「面倒見が良い」という抽象論ではなく、どこで、何を、どう管理するかが非常に具体的なことです。中学では学習指導検討会、独習ウィーク、到達度テスト、朝のチェックテスト、放課後補習が組み合わされ、高校では放課後進学講座、進学合宿、共通テスト演習、入試直前演習へと接続します。しかも校長インタビューでは、中1から高2の2学期までを「学び力伸長システム」、高2の3学期以降を「進学力伸長システム」と位置づけており、学校側の設計思想がかなり明快です。こうした“育て方の見えやすさ”が、保護者からの安心感につながっています。
講習は多いが、強制一辺倒ではない
安田学園の学習支援は手厚い一方で、「全部が義務で息苦しい学校」と単純化するのも正確ではありません。学校公式の個別相談Q&Aでは、講習は希望制・選択制で、強制ではないこと、しかも追加費用はかからず授業料に含まれること、さらに担当者は予備校外部委託ではなく普段の授業担当教員であることが明記されています。加えて、学校アンケートでは学園全体で約20%が通塾としており、「塾ゼロでなければならない学校」ではない一方、学校だけでもかなり完結できる体制を目指していることが読み取れます。
探究・ICT・グローバル教育が実績向上と結びついている
安田学園の人気を押し上げているのは、受験指導だけではありません。高校の探究プログラムでは、観察・仮説・検証・考察を通じて論理的に探究する授業に加え、クエストエデュケーションや墨田区を題材にした地域探究が用意されています。ICT面では、AIによる記憶定着システム、到達度テストの個別レポート、オンライン英会話などが整備され、学校ニュースではロイロ認定校にも認定されました。こうした探究・ICTの蓄積は、一般入試対策だけでなく、近年重要性の増す総合型選抜や面接型選抜との相性も良いと言えます。
グローバル教育の層の厚さも、安田学園の大きな魅力です。高校の公式ページでは、第二外国語講座、ニュージーランド語学研修、オーストラリア短期留学、日韓交流プログラム、3カ月留学、ニューヨーク研修、マレーシア修学旅行などが並びます。さらに校長インタビューでは、中学から英語を週7時間学び、中学卒業時に8割の生徒が英検準2級を取得していると説明しています。受験だけでなく、語学・国際経験まで含めて中高6年間を設計したい家庭にとって、かなり魅力的な学校と言えるでしょう。
通いやすさと学校生活の現実感も強い
アクセス面も人気の理由です。学校公式では、JR総武線「両国駅」西口から徒歩6分、都営大江戸線「両国駅」A1口から徒歩3分、都営浅草線「蔵前駅」A1口から徒歩10分と案内されています。高校FAQでは週6日制で土曜4時間授業、クラブ加入は7割近く、中学入学生とは別クラス、2年進級時に成績によりコース変更可能とされており、「勉強だけの学校」でも「放任の学校」でもなく、進学校としての現実的な生活像が見えやすい点も評価されやすいポイントです。
安田学園の指定校推薦はどこまで期待できるか
公式に確認できるのは「推薦対応がある」ということまで
指定校推薦については、ここを曖昧なまま断定的に書く記事が多いのですが、現時点での正確な言い方はかなり慎重であるべきです。学校公式サイトで確認できるのは、進路ページで現役合格実績を公表していること、卒業生メッセージの中で推薦入試の面接練習などのサポートに触れていることまでで、指定校推薦の大学名や枠数の一覧を一般公開しているわけではありません。そのため、指定校推薦を重視する場合は、最新年度の説明会や個別相談で直接確認するのが最も確実です。
学校全体の主軸はあくまで一般受験型の進学校
安田学園の高校向け公式ページを見ると、S特は「東大などの最難関国立大学」、特進は「難関国公立大学・早慶上理」を目標に置き、学校完結型の講座も志望大学群別の入試演習として設計されています。つまり、推薦が使えない学校という意味ではありませんが、学校の広報や教育設計の主軸は明らかに一般受験・難関大受験寄りです。指定校推薦だけを期待して入るより、「推薦があれば選択肢に入れるが、基本は一般受験でも戦う」くらいに考えるほうがミスマッチは少ないでしょう。
各種口コミサイト上の情報では、推薦枠はあるが年度差が大きい
この点については、まさにユーザー生成情報の扱いに注意が必要です。各種口コミサイト上の情報では、「指定校推薦自体はある」「年度によって見え方がかなり違う」といった趣旨の投稿が見られます。ただし、同じ口コミサイトでも、サイト側が“投稿者の主観であり、現状とは異なる可能性がある”と明記しています。したがって、外部口コミを使う場合は「○○大学の枠が必ずある」と言い切るのではなく、推薦枠の有無や内容は年度で動くという程度にとどめるのが適切です。
推薦を狙うなら、評定と継続力が重要になる
指定校推薦や学校推薦型選抜を視野に入れるなら、安田学園ではむしろ日々の積み上げがものを言うと考えたほうがよいです。学校は朝のチェックテスト、到達度テスト、補習、講習、面接練習と、日常学習の継続を支える仕組みを多く持っています。裏を返せば、定期試験や課題への向き合い方が甘いと、推薦型選抜に必要な評定や提出物評価でも不利になりやすい環境です。推薦が向くのは、「一夜漬け」よりも、コツコツ型で評定をきちんと積める生徒だと言えるでしょう。
安田学園はどんな受験生に向いているか
勉強習慣を固めたい受験生とは相性が良い
安田学園に向いているのは、まず勉強習慣を学校の仕組みの中で確立したい生徒です。中学では独習ウィークや朝テスト、高校では放課後進学講座や進学合宿があり、受験勉強を“気合い”ではなく“仕組み”で支える学校だからです。GMARCH以上を狙いたい、できれば早慶上理や国公立まで視野に入れたい、でも完全放任だと不安、という層にはかなり合っています。学校側も「学校完結型」を掲げ、実際にチューターや自習室も整えているため、自分で学ぶ力を鍛えながら、必要な場面では手厚く支えてほしい生徒に向いています。
探究や語学まで含めて6年間・3年間を設計したい家庭にも向く
偏差値や合格実績ばかりに目が行きがちですが、安田学園の良さは、探究・ICT・海外体験を受験指導と分断していない点にもあります。中学から高2まで探究プログラムが続き、第二外国語や留学、海外研修も複数用意されているので、大学受験の先にある学び方まで意識したい家庭には魅力があります。単に「大学に受かる学校」ではなく、「大学進学後も伸びる学習姿勢を育てたい学校」として見ると、安田学園の価値はより分かりやすくなります。
逆に、自由度の高さを最優先する人は合うか見極めたい
一方で、安田学園が誰にでも合うわけではありません。学校公式だけを見ても、週6日制、土曜授業、朝のチェックテスト、補習、講習、自学管理など、かなり“学習設計が濃い”学校です。各種口コミサイト上の情報では、「勉強に集中しやすい」「先生の面倒見が良い」といった肯定的な声がある一方、「課題が多い」「勉強があまり好きでないときつい」といった声も見られます。口コミは主観的で時期差もありますが、少なくとも「自由放任で、課題少なめで、ゆったりした校風」を最重視する人は、説明会で雰囲気をよく確認したほうがよいでしょう。
高校受験組はクラス編成も要チェック
高校受験生にとって大事なのは、安田学園では中学からの一貫生と高校入学生は同じクラスにならないという点です。これは外部生にとって不利という意味ではなく、むしろ高入生向けにコース設計が分かれていると理解したほうがよいでしょう。さらに、FAQでは2年進級時に成績によりコース変更が可能と案内されており、「入学後の伸び」に応じて上のコースを狙う余地もあります。高入後にどこまで上を目指せるか、という視点で学校を見ると、安田学園の評価はより立体的になります。
まとめ
安田学園は、いまや「両国にある面倒見のよい学校」というだけでは語りきれません。高校偏差値はS特63・特進60が目安で、中学偏差値は模試によって見え方が違うものの、首都圏模試センターや四谷大塚のデータ、さらには高倍率の後半日程を見ても、受験生からの注目度が高い学校であることは確かです。しかも、学校公式の最新実績では国公立67名、早慶上理ICU・医学獣医科125名、GMARCH342名と、出口実績も非常に強くなっています。
そして「入学後に偏差値が上がる」という評判の正体は、魔法のような話ではなく、朝テスト・到達度テスト・補習・講習・放課後進学講座・進学合宿・チューター・自習室まで含めた、非常に密度の高い学習設計にあります。指定校推薦は存在していても、学校の主軸はあくまで一般受験型の進学校です。したがって安田学園を志望するなら、「推薦枠がどれだけあるか」だけでなく、この学校の学習管理スタイルと自分の相性が良いかを基準に選ぶべきです。そこが合えば、安田学園は偏差値以上に“伸びる場”になり得る学校です。


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